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「もっともっと速く走りたい。そして更に上の舞台へ」。
07年、初めて1年を通してA1級選手として戦った松本博昭は、08年のレースを迎える前に強くそう思った。松本は今年でプロ9年目を迎えた広島出身の競艇選手。過去、今年ほど「いい意味での欲」が出たことはなかった。
松本は1999年5月13日に地元宮島でデビューし、06年までの多くをA2級選手として戦ってきた。トップのA1級選手と比べ、A2級選手の賞金は少ない。しかし、松本はそれなりの金額を稼いでいた。プロになる前は、誰もが賞金もさることながら「一番速く走りたい」と思っている。しかし月日が経ち、A2級選手でも生活に不自由ない程度の賞金が稼げるようになると、選手の中には次第にその気持ちが薄れていく者が現れる。松本もそうなりかけていた。「これからもこのままでいいかな?と思う自分がいたんです」。だからこそA2級選手が長く続いても、A1級選手として走りたいと強く思うことはなかった。
しかし、1つの出来事が松本を変えた。「確か06年の暮れ、尼崎だったと思うんですが、そこで船が全く走らなかったんです。そのときに『これではヤバイな』と思って、初めて船に乗ってはプロペラを叩くという作業を繰り返しました。その結果
、すごくいいプロペラができて、速く走れるようになったんです」。プロペラの出来が勝負の行方を大きく左右する競艇。それだけにこのプロペラの完成が翌年、07年の活躍に繋がった。
そのプロペラで松本は07年、G1戦にも4度出場するなど、前期に勝率6.64、後期に6.34をマークし、プロ8年目にして初めて1年を通
してA1級選手としてレースに出場した。
さらにこの1年がこれまで抱いていた気持ちを大きく変えた。強者が揃う舞台に身を置いたことで、「厳しいレースもあるけど、そこで勝てたらすごく嬉しい。それにもっと速くなりたい、もっと上の舞台で走りたいと思うようになりました」。初心を思い出し、心が奮い立った。
1月31日、松本は宮島で開催されたG1中国地区選手権競走で初めてG1戦の舞台で優勝戦に駒を進めた。結果
は6着。それでも「自分でも勝てる。やればできる」という自信をあらためて手にした。
松本が今年、掲げる目標はG1戦の更に上のグレードで、年に8回しか開催されないSG戦出場だ。松本は現在、そのビッグレースを目指しプロペラの調整に余念がない。「プロペラが一番大事。エンジンの力を最大限に伝えられるようなプロペラに調整しています」。
さらなる舞台で勝利を手にするために、「もっともっと速く走りたい」。
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